心の傷と精神障害の関係
このページでは、「心の傷の内容」「心の傷からの精神障害の内容」「心の傷からの性格」について記載しています。アダルトチャイルド=アダルトチルドレン(Adult Children=AC=機能不全家族で育った人)かどうか知りたいと思う人に役立つような記載内容になっています。なお、心の傷からの精神障害の多くは、「ゆううつ」傾向があります。よって、単に、うつ病と診断されている可能性もあります。
「心の傷」と「精神障害」の関係の概念図
心の傷と精神障害
心の傷の内容
虐待と言う視点で見れば、身体的虐待、養育保護の怠惰・放棄(ネグレクト)、精神的虐待(心理的虐待)、性的虐待になります。これらが、明確に行われていた場合、必ず心の傷が発生しています。

そんな虐待は、行われていなかったと思う前に、ちょっと考えてみてください。子供の感受性は非常に敏感です。身体的虐待は、躾(しつけ)と称して、お尻をたたかれた経験はありませんか? 長時間閉じ込められたり、寒い屋外に長時間ほり出されたことはありませんか? 精神的虐待は、否定される、無視される、大事なものを捨てられたことは、ありませんでしたか? 性的虐待は、異性の親が変な視線で見ませんでしたか? お風呂で身体を洗うと称して、嫌がることをされませんでしたか?

親子のほほえましいコミュニケーションと思われることも、子供にとっては、精神的虐待になっている可能性があるのです。親は虐待と思ってなくても、子供が心の傷を負っていれば、虐待です。このように、親からは、まったく気づいていない場合でも、心の傷が発生している場合があります。

子供は、親にほめられたい一心なのです。泣くことしかできなかった赤ん坊が成長していく過程で、ほめることは非常にたくさんあるはずです。ほめられた記憶がないのも心の傷になっている可能性があります。子供の話を、親は聞いてくれましたか? このようなことで、寂しい思いはしませんでしたか?

「橋の下から拾ってきた」「いらない子だった」「○○の方が可愛いい」と言うつらい言葉を聞いた記憶はありませんか?
「あなたたちさえいなければ」「あなたたちさえ生まれなければ」と言う悲しい言葉を聞いた記憶はありますか?
違う言葉になりますが、親のつらい気持ちを聞いてあげる役目をしていませんでしたか?

両親のどちらかが病気で、小さいときから、病気の親の肩代わりをしてきませんでしたか?

外見からは、本当に幸せそうな家庭でも、心の傷が発生している場合があります。

兄弟姉妹の1人だけが、心の傷を負う場合もあります。役割分担の違い、親の接し方の違い、持って生まれた感受性の違いなどです。

心の傷からの精神障害の内容
うつ病(鬱病)は、ストレスで発症する病気です。症状は、気分の低下(ゆううつ)、不安(イライラ)、意欲の低下(無気力、興味の低下)などです。仮面うつ病といって、精神障害は現れずに、肉体的不調だけの場合もあります。通常のうつ病(鬱病)は、薬と休養で、6ヶ月〜1年程度で、生活に支障のない程度まで戻ります。しかし、一部のかたは、数年〜数10年かけても治ってられない事実もあります。ストレスについて、ちょっと考えて見ましょう。
ライオンの折の中で、ライオンと衣食住をともにしていた人がいたとします。いつ、ライオンに食われるかと言う恐怖心のストレスで、うつ病(鬱病)になったとします。うつ病(鬱病)になったので、ライオンの折の中から外に助け出されて、薬と休養の処置をとったとします。この場合、将来ライオンの折に戻らなければならないと思うと、薬と休養では治らないですよね。仮に治って、ライオンの折に戻れば再発しますね。
過労や一時的なストレスならば(遠ざけることができるストレスならば)、「薬と休養」で治ると思いますが、ライオンの折の中に戻るような場合は治るのでしょうか?
同じように、心の中にストレスの原因がある場合は、遠ざけることができないストレスですね。

摂食障害(ED:Eating Disorder)は、拒食症・過食症のことを言います。摂食障害は、母親と子供のときの微妙な意識のずれから引き起こされていると言う説が一般的です(経験的事実として、多くの書籍に記載されています)。この行動は、食べない・食べ過ぎると言う行動から、なにかを分かってほしいと言う叫びなのです。
1970年代に数々のヒット曲を生み出したカーペンターズ。最近でも、イエスタテーズ・ワンスモアなどをラジオなどで聞くことがあります。カーペンターズは、兄と妹で結成されていましたが、妹のカレン・カーペンターは拒食症に苦しみ、32歳の若さで亡くなりました。「母親の愛が兄の方に注がれていたのが原因」とよく言われています。
なお、この例から分かりますように、拒食は非常に死亡率が高い病気ですので、くれぐれも、注意してください(身体合併症・自殺)。
[参考]
従来の標準体重の計算方法:
 標準体重 = { 身長(cm)−100 } × 0.9
現在のBMI(Body Mass Index)の計算方法:
 BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)
 標準体重 = 身長(m) × 身長(m) × 22
 BMI 18.5未満・・・やせ
 18.5〜25未満・・・普通(22:標準体重)
 25〜30未満・・・・肥満1度
 30以上・・・・・・肥満2度
なお、BMIが15以下になってくると、臓器などの異常をともなう危険な状態です。生理は、15以上でも止まっていることが多いようです。

自傷行為とは、死ぬことを目的とせずに、自分の身体を傷つけることです。一般的なのは、リストカット(=リスカ:手首を切る)、アームカット(=アムカ:腕を切る)、壁に額をぶつける、壁を殴るなどです。自傷行為の心理は、非常に複雑なようです。くやしさ、怒り、後悔、自分への愛想づかしといったマイナスの感情がにわかにたかまった後に自傷行為が行われるようです。自傷行為の最中は普段の心理状態と異なっているようです。しかし自傷行為の後は、落ちつき、活力を感じ、開放感があり、自分の存在感が確認できているようです。簡単に言えば、通常ならば、外に向けるべき怒りが自分自身に向いている、この怒りを自傷行為でしか発散できない、そして、生きていることが確認できると解釈すれば、理解しやすいと思います。

境界性人格障害(ボーダーライン=Borderline)とは、愛する人や大事な人に見捨てられるという不安を絶えず抱えており(この見捨てられ不安が、つねに付きまとっているので、繰り返し、繰り返し、さみしさや、怒り、 むなしさ、絶望感、孤立感、自暴自棄の感情が襲います)、自分の生き方がわからず、感情の移り変わりが早く人間関係が不安定、他人への評価が極端から極端へと揺れ動くような症状を持った病気です。原因は、赤ん坊(子供)が母親から精神的に分離する時期に、母親が無意識的にこれを妨害するよな場合です。母親によっては、赤ん坊(子供)が自分から離れて行くことに対して、自分が置き去りにされたかのような淋しさを感じる人がいます。このような母親は、子どもを自分に依存させるために「見捨てる」という脅しを効果的に利用するようになります。この脅しは、親にしがみつくように誘導するにはもってこいの手段となります。
簡単に言えば、症状、原因とも、大人ではありますが、ハイハイをはじめたばかりの赤ちゃんが母親を探し求め必死に泣き叫んでいる状態です。

自己愛人格障害とは、自分を愛することが病的に肥大化して自分に対する誇大感を持つようになる病気です。自分は優越的な存在でなければならず、素晴らしい特別な存在であり、自分より優れたものを認めたがらず、他人を見下したり軽蔑したりすることに快感を覚えたりします。原因は、これも、赤ん坊(子供)が母親から精神的に分離する時期に、母親が無意識的にこれを妨害するよな場合です。親の立場というのは赤ん坊や子どもからすれば圧倒的に優位な立場にあります。そして、見捨てられた自分は圧倒的に弱くて惨めな状態にあります。この力関係はどうにも動かしようがありません。そこで、一つの解決方法として、空想の中で立場の逆転を起こそうとすることがあります。

解離性障害は文字通り、意識の解離による精神障害です。この下の解離性同一性障害のところで、究極の生命維持装置と記載しているように、解離性障害は、耐えられないことから身を守る手段と考えることができます。なお、「解離(Dissociation)」そのものは、幼児・子供の頃ほど強く発揮され、普通の人でも日常起こる事項です。たとえば、「空想にふけってボ−っとする」、「何かに集中して周りのことが気づかない」などです。

解離性同一性障害(DID:Dissociative Identity Disorder)は、旧称:多重人格障害(MPD:Multiple Personality Disorder)のことで、ひとりの人に、明瞭に区別される2つ以上の同一性、または人格状態が存在する病態で、それぞれの人格状態は、同一性、記憶、および意識の統合ができていません。この解離性同一性障害は、興味本位で扱われることもありますが、究極の生命維持装置と思えば、非常に理解しやすくなります。通常では耐えれないようなショックが起こった場合、その生命を維持するために、今までの人格が意識の下にもぐり、新しい人格が誕生して、それ以降を切り抜けるような場合です。なんらかのトリガで、元の人格に戻ります。「それぞれの人格状態は、同一性、記憶、および意識の統合ができていない」ため、他の人格に戻ったとしても、その間の記憶がありません。女性であっても、必要に応じて、男性人格ができたりします。動物人格(主に猫)もあるようです。非常に多くの人格が出来ている場合もあります。解離性同一性障害を詳しく調べるには、次の名称を理解しておくほうが良いでしょう。基本人格(出生して最初に持つ本来の人格、オリジナル人格、original personality)、主人格(ある時期において大部分の時間時間のあいだ身体を管理的に支配している人格、ホスト人格、host personality)、二次的人格状態(オリジナルでない成長後に分離した人格)の3種類、なお、常置しているの人格を「主人格」、たまに入れ替わる人格を「副人格」と言う場合もあります。

解離性健忘(Dissociative Amnesia)とは、ある一定の期間、自分がどこにいたのか、何をしていたのかを忘れてしまうというものです。

解離性とん走(Dissociative Fugue)とは、突然、家庭や職場など、日常活動の場から離れて放浪し、過去の一部または全部を追想することができなくなります。別の人格になっていることもあります。

離人症性障害(Depersonalization Disorder)とは、「自分の意識や自分の身体が現実感を失う」という離人感と、「自分のまわりのものを奇妙な異物として感じる」という非現実感があります。実際には2つが重なって起こることが多く、厳密には区別できないのが一般的です。

嗜癖(しへき=アディクション=Addiction)は、「ある習慣への耽溺」を意味し、重症例は病気の依存症(Dependence)と呼ばれますが、嗜癖はもう少し軽症例から重症例までを含めた広い概念で使われます。依存症は、「物質依存」「プロセス依存」「人間関係依存」の3種類に大分類できます。物質依存はアルコール依存症や薬物依存症、プロセス依存は買物依存症や仕事依存症、人間関係依存は共依存症や恋愛依存症です。依存のつぼみは遅くとも3 歳までにできあがるといわれています。人間の赤ちゃんは未成熟な状態で生まれてくるため1歳半までは養育者による絶対的な依存状態が必要で、十分な依存状態が得られてこそ自立にむかうことができるのです。依存症を、小説から理解するには、菜摘ひかるさんの短編集「依存姫」(主婦と生活社)を参考にしてください。

アルコール依存症は、簡単に言えば、「アル中」です。アルコールの適量を超え、臓器に負担がかかり、場合によれば、死ぬこともあります。「アルコール依存症」の状態は、「依存症」と言う明らかな病気です。本人・周囲が、その認識を持つのが一番必要なことです。お酒が切れると、離脱症状(いわゆる禁断症状)がでます。ホームレスの人々のアルコール依存症は思ったほど多くなく、ごく普通の人に起こる病気です。クラウディア・ブラックが提唱したもともとのアダルトチルドレンは、アルコール依存症家族で育ち、すでに成人した人(ACoA:Adult Children of Alcoholic)の意味です。

薬物依存症は、薬物を求める強い衝動がありる場合を言います。ポスターなどで、「好奇心から」と言う言葉を見ますが、家庭内問題を抱えている場合が圧倒的に多いという報告もあります。

買物依存症や仕事依存症は、ある行為をしたときに得た恍惚感や安心感といったものを味わいたくて、後先考えずにその行為を繰り返します。

共依存症とは、人間関係そのものに依存するという意味です。この共依存症者と他(アルコール・薬物など)の依存症者が配偶者・親族・恋人・友人として組み合わさると、他の依存症者の問題の後始末に夢中になり、他の依存症者の取らなかった責任を一生懸命代わりし、その結果、他の依存症者本人が決意して現在の困った状況を解決する必要がなくなり、そのまま続けることになります。
なお、上の表には記載していませんが、人間に関する依存症に、恋愛依存症、セックス依存症などもあります。

PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder=心的外傷後ストレス障害=外傷後ストレス障害)は、大人になってトラウマ事象を起こす体験(人の対処能力を超えた圧倒的な体験で、その人の心に強い衝撃を与え、その心の働きに永続的、不可逆的な変化を起こすような体験)を意味します。


心の傷からの性格
精神障害は発生していなくても、おおむね、次のような性格が多いようです。
1)自己否定感が強い。
2)生きにくさを抱えている。
3)甘えることができない。
4)自分の感情をうまく表現できない。


参考
これらの病気をさらに詳しく調べていく人のために、知っておいたほうがよい言葉があります。

転移とは、患者が治療者に異性として恋愛感情を持つことを言います。逆転移とは、治療者が患者に治療関係を越えた特別な感情を持ってしまうことを言います。

概要 犬のワトソン 心の傷と精神障害講座 PTSDの診断基準