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人格障害(パーソナリティ障害)の全般的診断基準(共通の診断基準)

 
人格障害(パーソナリティ障害)には、それぞれに診断基準というものが存在しますが、各類型ごとの診断基準に加えて「全般的診断基準」というものを満たさないと、人格障害があるとは言えません。つまり、まずは「この人は人格障害があるだろう」(=全般的診断を満たす)と思われ、次に「どのタイプの人格障害だろうか」(=類型ごとの診断基準)を見ていくのです。【DSM-IV-TR:アメリカ精神医学会】、【ICD-10:国際疾病分類】とも、このようになっています。
 
 
人格障害(パーソナリティ障害)の全般的診断基準【DSM-IV-TR:アメリカ精神医学会】

DSM-IV-TRの人格障害(パーソナリティ障害)の全般的診断基準は以下の6項目からなります。
  1. その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式。この様式は以下の領域の2つ(またはそれ以上)の領域に現れる。
    1. 認知(すなわち、自己、他者、および出来事を知覚し解釈する仕方)
    2. 感情(すなわち、情動反応の範囲、強さ、不安定性、および適切さ)
    3. 対人関係機能
    4. 衝動の制御
  2. その持続的様式は柔軟性がなく、個人的および社会的状況の幅広い範囲に広がっている。
  3. その持続的様式が、臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
  4. その様式は安定し、長期間続いており、その始まりは少なくとも青年期または成人期早期にまでさかのぼることができる。
  5. その持続的様式は、他の精神疾患の表れ、またはその結果ではうまく説明されない。
  6. その持続的様式は、物質(例:乱用薬物、投薬)または一般身体疾患(例:頭部外傷)の直接的な生理学的作用によるものではない。

【出典】「DSM-IV-TR 精神疾患の分類と診断の手引き 新訂版」(医学書院)
 
特定の人格障害(パーソナリティ障害)の診断ガイドライン(F60)【ICD-10:国際疾病分類】

特定のパーソナリティ障害は、通常、パーソナリティのいくつかの領域を含む、性格構造と行動傾向の重度の障害であり、ほとんど常に個人的あるいは社会的にかなりの崩壊を伴っている。パーソナリティ障害は小児期後期あるいは青年期に現れる傾向があり、成人期に入って明らかとなり持続する。それゆえ、パーソナリティ障害が16歳ないし17歳以前に適切に診断されるということは疑わしい。すべてのパーソナリティ障害に適用される全般的な診断ガイドラインを以下にあげ、補助的な記述はおのおのの亜型で示すことにする。

診断ガイドライン
粗大な大脳の損傷や疾病、あるいは他の精神科的障害に直接起因しない状態で、以下の基準を満たす。
  1. きわめて調和を欠いた態度と行動を示し、通常いくつかの機能領域、たとえば感情、興奮、衝動統制、知覚と思考の様式、および他人との関係の仕方などにわたる。
  2. 異常行動パターンは持続し,長く存続するもので,精神疾患のエピソード中だけに限って起こるものではない。
  3. 異常行動パターンは広汎にわたり、個人的および社会的状況の広い範囲で適応不全が明らかである。
  4. 上記の症状発現は,常に小児期あるいは青年期に始まり,成人期に入っても持続する。
  5. この障害は個人的な相当な苦痛を引き起こすが、それが明らかになるのはかなり経過した後からのこともある。
  6. この障害は通常、しかしいつもではないが、職業的および社会的遂行能力の重大な障害を伴っている。
社会的な規範、規則および義務を考慮した上で、異なった文化に適合する特異的な診断基準をつくり出すことが必要であろう。以下にあげる主な亜型を診断するためには、記述されている特徴あるいは行動のうち少なくとも3つが存在するという明らかな証拠が必要である。

【出典】「ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 新訂版」(医学書院)
 
【参考】F60-F62:特定のパーソナリティ障害、混合性および他のパーソナリティ障害と持続的パーソナリティ変化【ICD-10:国際疾病分類】

上の項目に「F60:特定のパーソナリティ障害【ICD-10:国際疾病分類】」を記載しましたが、【ICD-10:国際疾病分類】には、もうひとつ上位に、「F60-F62:特定のパーソナリティ障害、混合性および他のパーソナリティ障害と持続的パーソナリティ変化【ICD-10:国際疾病分類】」なる記載があります。


これらの型の状態は、根深い、持続する行動パターンであり、広い範囲の個人的および社会的状況に対する不変の反応として現れる。これらの状態は、ある特定の文化における平均的な人間が知覚し、考え、感じ、そしてとりわけ他人に関わる仕方からの極端な、あるいは際立った偏りを示している。このような行動パターンは固定化し、行動と心理的機能の多様な領域を包含する傾向を示す。それらは、常にではないが、しばしば主観的な悩みや社会的機能と遂行能力の問題とさまざまな程度関連している。

パーソナリティ障害は、それらの出現の時期と様式によってパーソナリティ変化と区別される。それらは、小児期か青年期に現れ、成人期へと持続する発達上の状態である。他の障害に先行したり併存したりすることはあっても、他の精神障害あるいは大脳疾患から二次的に生じるものではない。これに対して、パーソナリティ変化は通常成人期に、重い、あるいは持続するストレス、極端な環境上の喪失、重症の精神科的障害、あるいは大脳の疾患か損傷に引き続いて起きる(F07.-を参照)。

このグループの状態は、いずれも、その行動上の優勢な症状にしたがって分類することができる。しかしながら、この領域の分類は現在のところ、相互に排除し合うのではなく、その特徴のいくつかの点では重なり合う一連の型および亜型の記述にとどまっている。

それゆえパーソナリティ障害は、このような状態の最も頻繁な、あるいは際立った行動上の症状に対応する一群の特徴によって下位分類される。そのようにして記述された亜型は、パーソナリティ偏倚の主要な形として広く認められている。パーソナリティ障害という診断をくだす際、診断の定式化は、簡潔で実際的であるために、提案された重症度を満たす次元あるいは特徴だけを考慮することになるが、臨床医はパーソナリティ機能のすべての面を考慮すべきである。

評価はできる限り多くの情報源に基づいてなすべきである。時には患者とのただ1回の面接でパーソナリティ状態を評価することは可能であるが、その人物と複数回の面接をし、情報提供者から生活史上のデータを集めることがしばしば必要になる。

気分循環症と統合失調型障害は、これまで形式的にパーソナリティ障害に分類されていたが、今回は他の節にあげられている(気分循環症はF30−F39に、統合失調型障害はF20−F29に)。その理由は、それらの節の他の障害に共通する特徴を数多くもっているように思えるからである(たとえば、現れたものや家族歴が)。

パーソナリティ変化の下位分類は、このような変化の原因や先行する事件、すなわち、破局的な体験、長引くストレスや緊張、そして精神秘的疾病(F20.5に分類されている残遺統合失調症を除く)に基づいている。

パーソナリティ状態を、本書の他のカテゴリーに含まれる障害から分離することが重要である。あるパーソナリティが時間的に限られたあるいは慢性的な精神科的障害に、先立ってあるいは引き続いて起きるときは、両方の診断をくだすべきである。精神障害と心理的因子の核となる分類をもった多軸的な形式を使用すれば、このような状態と障害の記録は容易になるだろう。

パーソナリティの現れ方の文化的あるいは地域的な変異は重要であるが、この分野における特別な知見はまだ乏しい。世界のある地域では頻繁に認められるが、以下の特定の亜型のどれにも対応しないパーソナリティは、「その他の」パーソナリティ障害として分類し、特定の国や地域にこの分類を適合させるために与えられた第5桁の数字によって同定することができる。パーソナリティ状態の現れ方の地域的な変異は、そのような状態のために設けられた診断ガイドラインの表現に反映されてもよい。

【出典】「ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 新訂版」(医学書院)


【補足】
F60:特定のパーソナリティ障害(妄想性パーソナリティ障害、・・・)
F61:混合性および他のパーソナリティ障害(F60やF62に分類不能のもの)
F62:持続的パーソナリティ変化(破局体験後の持続的パーソナリティ変化、精神的疾病後の持続的パーソナリティ変化)
 
その他

  • ある調査結果によると、なんらかな人格障害(パーソナリティ障害)は、人口の4〜13%と言う報告もあります。
 
 
 
 
 
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