http://watchan.net/sagae/ スクールカウンセラーによる「こころの取扱い説明書」 佐賀枝 夏文
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○人生、家族、夫婦の歴史
 
 人生の問題、家族問題、夫婦問題を読み解くには、「いま」だけを見ているのでは限界があります。それぞれを歴史の流れや全体の中で見る必要を感じます。どのような時代にその問題が起 きているかを全体的に考えてみる必要があります。いま、起きている問題がどのような「歴史の段階」で起きているか考える必要があります。わたしたちは問題の断面だけに焦点をあてがちですが、それぞれが歴史的にどの段階であるかを考える必要があります。家族であれば、「形成段階」、「成熟段階」、次に子の世代に継承され「機能を果たして終結する段階」という推移を段階的にみる必要があります。わたしたちの暮らしの基盤は、すべて発達、進化、衰退の中にあります。
 
○人生の物語
 
 わたしたちの人生は、文章の「起承転結」のように考えることができます。

 「起」は幼児期、児童期にあたります。この時期に形成された性格で人生の全行程を生きていくことになります。また、人生の「宿題」と「課題」がこの時期に布置(*1)されているようにも思います。

 「承」は青年期と考えることができます。青年期は前期、中期、後期と「承知」するがごとく流れるときでもあります。

 「転」は展開期にあたる壮年期です。社会的にも、また気力、体力に恵まれた時期です。この時期は多くの場合、転機となる場合があります。人生そのものを問いかける時期となると考 えられます。転機は喪失体験として訪れることがあります。喪失体験は、人生の中での不可欠な出来事として捉えてはいかがでしょうか。わたしたちは、大きな願いのもとに生かされているのでしょうね。

 「結」は振り返りと同時に、計り知れない広がりの世界の開示時期でもあります。

*1:ふち:配り置かれていること。。
 
○不安
 
 不安は厄介なことのひとつです。不安の解消は、不安を発生している源を手当てするのがよいでしょう。不安は不安に突き動かされると大変です。それを避けるには、できれば具体的な「手立て」と「物ごとを進める段取り」を実行することでしょう。実行はできる範囲のことをするのがよいと思います。「手立て」や「段取り」を考えていると、不安が消えていく体験ができます。もし、不安に突き動かされて、不安そのものを考え出すと、不安が次第に確実に大きくなります。不安を放置して、成すべきことを実行していくのが得策です。
 
○不定愁訴
 
 思い当たることがないのに、急に「さみしい」や「悲しい」感情が湧いてきたりしませんか。別の表現をすると「すき間に寒風が入り込むような」と表現できるかもしれません。このような感覚に襲われると、理由がないのに「なぜ」と思うかもしれません。ハイテク時代に割り切れない、とお考えでしょう。しかし、人間は合理的な存在ではなくスピリチュアル(*1)な面のある存在です。不定愁訴が湧いても、なにも不思議ではありません。不定愁訴も何か大切な信号と受け取ってはいかがでしょう。

*1:霊的な
 
○問題から読み解く
 
 問題に対する善悪の判断を下しがちですが、問題の本質を理解するには、読み解く作業が必要でしょう。読み解く作業として、解決すべき問題、他者との人間関係のもつれ、他者の行動や考えなどに焦点をあててみる必要があります。読み解く作業を阻むのは、善悪や良し悪しで判断してしまうことです。読み解くポイントは、問題そのものに解く鍵があります。

 たとえば、万引きした少年の品物が一個の「消しゴム」とします。その少年が意識して消しゴムを万引きしたかはさておきます。その少年が自分のある失敗を「消しゴム」で消すことができればと、「消しゴム」を万引きしたかったのかも知れません。もし、「悪い行為」として処理してしまえば、その少年の問題の本質を理解することからはずれてしまいます。読み解くことができれば、深く隠れた問題を読み解く作業となります。

 また、少年が部屋の壁を鉄拳でぶち壊す、教室の壁を足でけるなどの行為も読み解くことができます。壁を壊すことだけに着目すれば、悪いこととして、ことの制裁に終始してしまします。少年が越えなければならない壁(受験や友だち関係のこじれ)を、体当たりで象徴的に表現していると考えてはいかがでしょう。

 問題を読み解くには、こころを自由にした対話が必要です。一方的な解釈は、邪推(*1)に近いものに過ぎません。こころを解放して語りあえる場が必要です。

*1:じゃすい:悪く想像し考えること
 
 
 
 
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