http://watchan.net/sagae/ スクールカウンセラーによる「こころの取扱い説明書」 佐賀枝 夏文
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スクールカウンセラーとして担当した志賀中学校では、毎月「相談室だより」という表題で、生徒さんと家庭向けの通信を作成しました。そのコラム記事を編集したものです。
 
○こころの形(その一)
 
 「こころ」って、どのような形をしてるか考えたことありますか。大きいこころや小さいこころ、堅いこころにやわらかいこころ、軽いこころに重いこころ、いろいろあるように思います。

 サザエさんは、ときどきつらくなると、ぼくのこころの底が破れているのではないかと思うことがあります。それは理由がないのに、ふぅーとさみしいくなったりするからです。そのとき、さみしくなると、たくさん食べたり飲んだりします。食べても、飲んでも十分に満足できないのです。おなかに違和感が残ってしまいます。これは食べ物や飲み物で代用したからでしょう。さみしいときや悲しいとき、食べたり、飲んだりしてしまうことがダメだとはいえませんが、飲み物や食べ物で「空っぽのこころ」を満たそうとしていることを知っておいてください。

 こんなことにチャレンジしませんか。悲しいときつらいとき、残念だけど「さみしいなぁー」、「悲しいなぁー」と認めてしまうのです。友だちとうまくいかないとき「こんなときもあるさぁー」と考えてみるのです。こころが少しだけ軽くなりますよ。また、「悲しい」、「つらい」が残るようでしたら、相談室を訪ねてみませんか。
 
○こころの傷
 
わたしたちの「からだとこころ」は、乱暴に扱われると傷がつきます。からだの傷と違って、こころの傷は見えません。でも傷がつくと、感じることができます。つらい、かなしい、憂うつ、キレルなどがこころに傷がついた反応です。こころの傷もからだの傷と同じく手当が必要です。手当の方法を間違うと、こころの傷を深くしたり、傷口を大きくしたり、とんでもない大きな傷になります。

 ひとつ提案してみたいことがあります。よい方法は、「こころもからだと同じく傷がつくことがあるんだなぁー」と考えてください。このことを自分自身で納得する方法です。時間はかかりますが、この方法をマスターすると大きな傷にしなくてすみます。わたしたちは、たくさんの人間関係の中で生活しています。友だちと衝突することもありますし、自分の意見が通らないこともあります。わたしの考えと他者の考えは違って当たり前です。
 
○やり残したモヤモヤが消えない
 
 なんとなくなので、表現しにくいのですが、ことばにしたら重苦しい、少しつらい、さみしいなどという状態です。こころがモヤモヤして晴れないというのは、きまじめで一所懸命なひとが陥りやすい落とし穴です。モヤモヤを完全に消したいと考えているひとに提言したいと思います。なにごとも完全にはできません。もし完全にできれば、次回はもっと完全無欠を期待してしまいます。次々にこれをくり返せば、際限がありません。完全には何事も行きませんから、少し残るのが当たり前です。モヤモヤはすっきりしないのが当然と考えるのが良いでしょう。このようにいろんなことがあって当たり前と考えるのが良いようです。

 やり残して、このモヤモヤを体験しているひとがいると思いますが、これが自然と考えてください。また、このことで悩んでいるのは、あなただけではありません。
 
○やさしい声でていますか
 
  サザエさんは、欲張りなところがあります。例えば、友だちから大事にされたい、友だちからやさしくされたい、無視されたくないと考えています。あるとき、はっと気が付いたことがあります。あれが欲しい、これが欲しいと欲張って、無い物ねだりをしていたことに気がついたのです。いつも欲しがってばかりいたのではないかということです。欲しいもので満たせば幸せになると考えていました。実は待っていたり、期待ばかりしていたように思います。ぼくの方から、やさしい声で語りかけることがなかったのです。いつもわたしは「期待」ばかりで生きていたように思います。

 不機嫌な表情のサザエさんに、誰もやさしくしたいはずがないということです。みなさんもやさしい声でかたりかけてみませんか。
 
○おさまらない怒り
 
 サザエさんは、怒りんぼです。何か問題を抱えたときや解決できないことにぶつかると、すぐに腹を立てます。イライラして不愉快になります。こんなときのサザエさんはこわい顔になって、だれも近づこうとしないでしょう。サザエさんは、気が小さいので、ひとにぶつけることはないのですが、晴れない心でプンプンしているのです。歳を重ねたおとなになっても、こんなことで困っています。

 今、サザエさんがチャレンジしようと考えていることがあります。イライラしたときやプンプンして不愉快なことがあるとき、つぎのことにチャレンジしています。

チャレンジ
1.問題からすこし離れて距離を取る
2.少しだけ耐えてみる
3.過敏に反応しない
4.いつまでも考え続けない
5.深呼吸してみる

このようなことを実行してはいかがでしょう。キレたときは、問題と心理的距離が近づき過ぎていたり、心が過敏になりすぎているからです。キレはじめると心が破れて「いかりの感情」や「悲しみ」が止まらなく流れ出ます。心が破れると、さらにつらく悲しみが増します。さあー自分を認め、相手を許すことにチャレンジしてください。「こころの安定」がいつかできます。
 
 
 
 
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