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タイトルは、うつ病の家族の対応方法としていますが、うつ病の周囲の対応方法です。


病院へ行くまでと病院に行ってからに分類して説明します。「病院へ行くまで」はうつ病かどうか分からないときの家族(周囲)の対応方法、「病院に行ってから」はうつ病と診断されてからの家族(周囲)の対応方法となります。なお、心療内科は行ったことがないので、敷居が高いと思う人が多いようです。最近は、駅前などに、入院施設のない心療内科が開業されています。待合室、診療室、そこにこられている人も、内科の雰囲気と変わりません。気軽に行けばよい場所です。
 
 
病院へ行くまで
ふたつの重要なポイントがあります。ひとつ目は、うつ病になりやすいタイプの人は、家族(周囲)に気配りができるため、家族(周囲)に心配をかけることをなかなか言わないことです。ふたつ目は、本当に、うつ病の状態になっていると無気力なため、「自分から病院を探して病院で診察を受けると言う行為」ができません。よって、あなたが聞いた「SOS」は、非常に重要な信号である可能性があります。もうちょっと様子を見ようかとか、本当にうつ病になっているのだろうかなどの判断は、医師に任せばよいのです。ともかく、「SOS」を聞けば、病院へ連れて行くことです。

「うつ病の原因と症状」に記載した複数の症状が、継続して起こっていれば、うつ病を疑うことになります。その一つ一つは、誰にでも、たまに起こる症状なので、家族(周囲)の人間が、うつ病になっていることに気づくのは非常にむずかしことです。

しかし、親しい人には、多くの場合、本人が「SOS」を言葉で出しています。たとえば、「最近まったく寝れない」、「なんとなく無気力で、朝起きれない」、「しんどくて、こっちに来たら楽になるでと言うささやきが聞こえる」、「うつ病かも知れない」、「精神状態がおかしい」などです。ストレートに、「自殺したい」とは、なかなか口にしないでしょうが、このような言葉を聞き逃さないことが重要です。

このような言葉を聞いたときに、親しい人ならば、過去と現在のその人の違いを、ちょっと考えてみてください。訴えの内容が、非常に短期的なことから引き起こされているかどうかのみ判断してください。たとえば、寝れない原因が数日前に起こっていて、最近の数日の間寝れないだけなのかどうかです。このような非常に短期的な場合を除いて、このような言葉を聞いたときは、それ以上の判断をせずに、ともかく、心療内科に連れて行って、医師の判断を仰ぐべきです。

風邪ならば、通常、本人に、「内科で診察してもらったら」と言うと思います。同じように、「心療内科で診察してもらったら」と言ってしまいそうです。しかし、初期の場合を別にして、上にも記載しましたが、うつ病の状態になっていると無気力なため、本人が今までかかったことがない心療内科を探して病院へ行くことは無理です。

次のことを、即座に行います(状況にもよりますが、症状が重いと思われる場合は、その日のうちに診察を受けることです)。
1)本人に、心療内科で診察を受けることと予約などを代行する旨の了解をもらう。
2)心療内科を探す。
3)電話をかけて、診察時間の確認や予約などを行う。
4)健康保険証とお金を調達する。会社によれば、その場で健康保険書の代わりとなる証明書が出せる場合があります。
  また、健康保険証がなければ、当日は自費で受けて、次回差額返金してもらえばよいでしょう。
5)ここまでお膳立てすれば、本人1人で行くか、同行必要かを本人に確認します。家族ならば、同行したほうが良いでしょう。

なお、特別な場合を除いて、「心療内科で診察を受ける」ことを、本人に説明して了解をもらいましょう。だまし討ちのようなことは、絶対禁止です。本人、医師、家族(周囲)の人の信頼関係は必要です。

一連の行為は、「非常に重要なプライバシー(個人データ)」です。家族以外が病院へ同行した場合など、この点充分注意してください。
 
 
病院に行ってから
病院に行って、うつ病と診断されたとします。自宅療養が必要ならば、通常、医師は診断書を記載し、そこには、うつ病、または、それに準ずる病名が記載されます。しかし、軽症の場合などは、本人が黙っていれば、知ることができません。家族の場合であっても、本人が伝えないのであれば、病気であることを知ることができません。家族(周囲)として、対応の方法がありません。なお、本人が家族(周囲)の人に伝える気がないならば、仮に、なんらかの形で、うつ病であることをあなたが知っても、黙っておく必要があります。

自宅療養が必要で診断書が提出されたり、自宅療養は不要ではあるがうつ病になっていることを申告された場合の取り扱いかたです。上司にあたる管理職は、このような場合、慎重に考えて行動する必要があります。「ちょっと体調を崩されているので、当分、あまり負荷をかけず、早く帰ってもらいます。」は、周囲の人に伝えても問題ないでしょう。しかし、「彼は、うつ病にかかりました」と簡単には周囲の人に伝えることはできません。うつ病は、誰もがなりえる病気ですが、精神疾患です。すなわち、「非常に重要なプライバシー(個人データ)」です。

ところで、うつ病の人には、「はげまし」は禁句です。ここが、一般の病気と大きく異なる点です。「がんばれ」などは、絶対に禁句です。うつ病になるひとは、通常、人一倍働いている人です。そのひとが、急に早く帰りだしたりすると、うつ病であることを知らないと、「がんばれ」と言ってしまいます。この一言で、非常に追い込んでしまう可能性があります。

本人が、先に「うつ病になっていることを公開してもらってかまいません」と言ってくれれば、話は簡単です。しかし、公開を強要してはいけません。このあたりの取り扱いについては、充分注意して、本人の意思を尊重したうえで、本人の病気が早く治るように考える必要があります。

ちょっと前置きが長くなってしまいました。うつ病の人には、家族(周囲)の配慮が必要です。特に、家族や親しい人は、うつ病と言う病気を充分理解して、接し方に注意が必要です。

1)はげましは逆効果。温かく見守る。
2)外出や運動を無理にすすめず、ゆっくり休ませる。
3)考えや決断を求めることはやめる。
4)重要な決定は先に延ばさせる。
4)配偶者や恋人の場合は、恥ずかしくても、このときばかりは愛していることを明確に言葉にする。

それでは、順番に説明します。「うつ病とは」「うつ病の原因と症状」に記載した内容と重なりますが、ポイントなので充分理解してください。

うつ病になっている人に、はげましは禁句です。身体が正常でないため、本人ががんばろうとしても動けないのです。その結果、はげましは精神的に追い込んでしまうことになります。分かりやすくいえば、足がだるい状態と足が折れている状態の違いです。足がだるいだけならば励まして走れと言うべきですが、足が折れているならば即刻中止させるべきです。そして、ともかく話を聞いてあげることです。そして、「今までがんばりすぎたので、休息が必要になっただけ。薬と休息で必ず良くなるよ。」と言ってあげましょう。

うつ病の治療は、薬と休息です。ともかく、ゆっくり休ませることです。本人が休養できる環境を作る必要があります。会社の場合、突然長期休暇になれば、会社が困るのは当然です。また、主婦の場合、特に小さい子供がいるときは、家族が困るのは当然です。しかし、「自殺される可能性がある。よって、家族(周囲)の私達が休養できるようにしてあげよう」と考えれば、解決の糸口も見つかると思います。そして、家族(周囲)から見て、明らかに良くなってきたのが分かれば、一緒に少しの散歩から始めるぐらいがちょうど良いくらいです。

頭の中では、「ぐるぐる回る思考」「マイナス思考」で、へとへとになっています。ほんのささいなことでも、考えや決断を求められると、さらに疲れてしまいます。日常的なことでも、ある程度決めてあげて、簡単な「はい」「いいえ」ぐらいにしてあげましょう。「そろそろ、食事にしようか?」と言うような聞きかたです。

この「ぐるぐる回る思考」「マイナス思考」で、へとへとになっていると、悪魔のささやきが聞こえてきます。「こっちにきたら楽になるで!」と言う声です。それが、自殺、引っ越し、転職、離婚などです。客観的に見れば、無意味なことでも、うつ病になった人にとっては、この方法が、現状から手っ取り早く抜け出す一番簡単な方法なのです。家族(周囲)の人間は、この点を充分理解して、「必ず良くなるから、良くなってから、考えようね」と答えましょう。たとえ、うつ病になっている配偶者から、離婚を切り出されてもです。

うつ病の人に、一つだけ強く言っても良いことがあります。それは、自殺のそぶりなどがあったときです。このときだけは、愛情を持ったうえで、生きていてほしいことを強くさとしましょう。そして、配偶者や恋人ならば、はっきり、言葉で言ってください。「愛しているから、死なないでほしい」と。



   このように、そっと寄り添いましょう。



   このような、はげましは、禁止です。
 
 
 
 
 
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